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世田谷区“蘆花恒春園”を訪ねてみた♪

2011.10.14(金)朝のうちは穏やかな日射しが室内に差し込んでいたが、お天気は下り坂に向かうのか、風が出て少し曇ってきた。

   蘆花恒春園   

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徳富蘆花旧宅。

世田谷区粕谷にある“蘆花恒春園”を訪ねてみた。24年前まで、この蘆花の名を冠した京王線芦花公園の駅近くに11年暮らしていた。二人の子供達の育ち盛りの頃だった。先日は中学の同期会で懐かしい渋谷区桜丘近辺を歩いてきた。 そして前居住地の芦花公園。行く機会が余り無く、徳富蘆花の旧宅があるこの公園は、子供達や生前の妹達と、又当時飼っていた犬の散歩などに行ったきりで、旧宅は前を通りながら一度も中に入ったことが無かった。商売の裏方、子供達のPTA活動、趣味の習い事など一番忙しく暮らしていた時期でもあった。思い切って出かけて、懐かしい景色の中を歩き、蘆花の旧宅を見学することが出来た。

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旧宅の向かい側の広い敷地内の奥まった、


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しかし風通しのいい気持ちの良い場所に夫妻の墓があった。左に兄蘇峰が書いた愛子夫人の墓誌、写真に入らなかったが右手には同じく蘆花の墓誌がたっていた。数え60歳(今時なら50代の終わり)に逝った弟への言葉の最後には、“兄徳富蘇峰六十五歳 涙をぬぐいつつ書く”と記されている。ここで手を合わせてから旧宅へ。

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墓所内に居た猫 

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時に猫が紛れて入ってしまうことがあるのかもしれない。中に入り扉を閉めてお邪魔した。屋内に人の姿は無く、上がりかまちにノートが一冊置かれて、記名出来るようになっていた。さすがに防犯カメラは設置されている。

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入ってすぐの土間に設けられた釜戸の上に往時に使用されていたと思われる古い釜があった。

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土間から上がったすぐの部屋の小さな囲炉裏。右手には五右衛門風呂があり

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左手の次の間には、箪笥。上にある小箪笥は愛子夫人に蘆花が買い与えたと書いてある。

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箪笥の後ろの部屋は2畳間。蘆花の書いた作品“みみずのたわごと”の中に、引っ越してきた年に風呂と女中部屋を建て増したとあった。

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部屋を照らす灯り

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順路に沿って廊下を歩くと、昔ながらの歪んだようなガラス越しに、次々建て増しされていった家屋の向こうや中庭が風情ある様子で見えてくる。

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蘆花夫妻が慈しんだであろう庭の景色

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廊下の隅にあったオルガンは、日露戦争以前のもので、国産としては日本最古の教会オルガンで西川製、大変貴重なものであるという新聞記事が、次に立ち寄った記念館の中に貼られていた。

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蘆花の写真の前に、蘆花が休んだ古風な寝台が置かれている。

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その次の間には、両肘の付いた足を伸ばしてくつろげるソファがあり、大勢で集まれる大型のテーブルと椅子もしつらえてあり、モダンな生活スタイルがしのばれた。晴耕雨読の生活の中でのくつろぎには、このようなスタイルは畳に座るよりどんなに楽であったことか。

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立派な書体で書かれた“梅花書屋”の額が掛けられた書院

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廊下を歩きながら外を眺めれば、蘆花夫妻の愛した庭は豊かな自然が一杯で目に眩しい程の緑が飛びこんでくる。40歳で青山の借家から当地に越してきて、晴耕雨読の日々を過ごしながら文章を書き、村の人達との交流、夫妻で世界旅行に出かけたりなど20年間暮らしたという旧居。その生涯は今の時代であれば短いけれど、敬虔なクリスチャンであったという蘆花の生涯は幸せなものであったにちがいない。蘆花が亡くなった10年後に、愛子夫人が東京市に土地、建物、蘆花の遺品一切を寄付して、その後生れた“蘆花恒春園”という公園。死してなお、その魂は粕谷のこの地に夫妻で眠り続けていた。

若いころに訪れていたなら、今回のような感想を持つことも無かったかもしれない。今の年齢になって初めて共感出来る暮らし方への感慨、それも縁というもので、遅ればせながら蘆花の書物にも触れてみたくなった。次回は庭を歩いてみます。

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コメント

こんにちは!

蘆花恒春園というこちらの公園
いつか行ってみたいと
ずっと思っていたところです。
実際に蘆花が住んでいた建物が
大切に残っているのですね~。
中も入れるなんて、いいですね。
お庭も楽しみにしています。

投稿: 雲母舟 | 2011年10月15日 (土) 11時54分

ご無沙汰しております。

芦花公園、●十年行っていないので、お写真拝見
して行ってみたくなりました。
お庭の写真もですが、感想も楽しみです。
また、お邪魔しますね~

投稿: yuriko | 2011年10月16日 (日) 08時20分

雲母舟さん
こんにちは!
今日はいいおてんき撮影日和ですね
“蘆花恒春園”
お恥ずかしいことに若いころは、興味も無かった筈で、
今回、訪れてみて、感慨深いものが沢山ありました。
このような、生活の歴史が残る建物が、
無料で公開されている事に驚きでした。
きちんと保存されるためにも、個人的には
幾らかの入場料を払ってもいいと思えました。
京王線芦花公園駅からは歩いて15分位かかるかしら?
秋の紅葉の頃もきれいではないかと思います。
いつか是非

投稿: chisa_pie | 2011年10月16日 (日) 11時44分

yurikoさん

こんにちは!
ブログにはお邪魔しているのですが、お久しぶりです。
“蘆花恒春園”久し振りに行ってみて
又行きたくなっています。

今の住まいからだと、で東名瀬田から環八に出て、
世田谷公園の前を過ぎ、じきに蘆花公園です。
思えば、前の住まいもそんなに遠くない場所でした。
yurikoさんのところからなら、もっと近いのでは?
秋の紅葉もよさそうでしたよ
後で、お庭の様子などUPの予定でいます。

投稿: chisa_pie | 2011年10月16日 (日) 11時53分

Fantastic article post.Much thanks again. Want more.

投稿: slim fast diet | 2013年1月19日 (土) 20時56分

蘆花恒春園

投稿: 稲田梨乃 | 2020年2月15日 (土) 16時34分

Windows

投稿: 六郷満山 | 2020年2月15日 (土) 16時36分

横浜新道

投稿: 川原誠也 | 2020年2月15日 (土) 16時37分

横浜横須賀道路

投稿: 横浜横須賀道路 | 2020年2月15日 (土) 16時37分

安西玲奈

投稿: 明石健志 | 2020年2月15日 (土) 16時38分

成山裕治

投稿: 大平峻也 | 2020年2月15日 (土) 16時38分

ギロピタ

投稿: 服部さやか | 2020年2月15日 (土) 16時39分

織田信長

投稿: 大村沙亜子 | 2020年2月15日 (土) 16時40分

栗山裕貴

投稿: 平手友梨奈 | 2020年2月15日 (土) 16時40分

坂井汐梨

投稿: 坂本遥奈 | 2020年2月15日 (土) 16時42分

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